簡単に分けられないものに線を入れる。そこには割り切れぬ思いが生じる。「線を引く」ということはそんな痛みを伴った営みだ。しかし果たして、私たちはどれほど線引きの痛みを感じているだろうか。
heal(癒し)とwhole(全体性)は同語源だ。私たちには線引きによって分断されたこの社会が、全体性の回復のための癒しを求め悲痛な叫びをあげているように思えてならない。差別や偏見の背景にあるのは「あなたとわたしは違う」という線引きだ。戦争や紛争だって、国境や民族間の境界線がなければ生まれないだろう。私たち個人も「あるがまま」の自分ではなく、キャラや役割など「〇〇な私」に切り分けられることで生きづらさをおぼえている。
私たちはいま、線引きに向き合うことを、境界線に気づき、それを足で、頭で、心で越えようとする「越境」の姿勢を求められているのではないか。
越境ということをはじめよう、越境によって新たな「こと」がはじまることを願って。
なにをするの?
本年度は、2020年7月〜2021年2月の期間で〈越境ゼミ〉〈講演〉〈ワークショップ〉を3つの軸に、「線引き」を切り口に社会や自分のことを継続的・領域横断的に考えていきたいと思っています。月2回程度(土曜午前中心)にzoomを使用して集合予定。内容はコミュニティメンバーみんなでアップデートしていければと思っています!メンバーは随時募集しています。
発起人
大澤 健(ざわけん)
京都大学文学部 西洋哲学史(近世)専修
哲学用語と生活言語との乖離への違和感を発端に明治翻訳に関心をもち、越境行為である「翻訳」の研究を始める。学外では、滋賀県基本構想審議委員(2017.8.~)や滋賀学生コミュニティ kaname代表として、都市・地方の問題に精力的に取り組んできた。また、FEIS(未来の教育イノベーターズ・スクール)の運営やMono-Coto Innovationのメンターなどプログラム運営の経験も豊富。 〈詳しいプロフィール〉
コミュニティマネージャー
石井 夏海(なっちゃん)
大阪大学法学部
アカリノタネ大家
中高の環境の落差に衝撃を受け、社会的構造が個人に与える負の影響に対してできることはないかと考え始める。
草野 吉耶(よっち)
社会人一年目
立命館大学理工学部卒
滋賀にあるフリースペースtugumiとの出会いをきっかけに、心や暮らしに関心をもち、探究を続けている。
杉山 雄太(マルコス)
社会人一年目
滋賀大学経済学部卒
社会の問題への考えや日々の出来事を記録するnoteを毎日更新。書くことを通して社会や自分に向き合っている。
アドバイザー&講師
高垣 忠一郎
立命館大学名誉教授
「自己肯定感」の提唱者として知られるフリーランスな臨床心理家。「自己と他者」など境界周辺概念の専門家。
高木 俊介
精神科医
「精神分裂症」を「統合失調症」へと改名した、境界概念のスペシャリスト。
須藤 シンジ
ピープルデザイン研究所 所長
「意識のバリアフリー」をテーマに、障害者と健常者の境界を揺らし続ける越境活動家。
丹下 絋希
人間、ときどき映像作家
Mr.childrenのMVなどを手がける。
「戦争のつくりかた アニメーションプロジェクト」の発起人であり映像を通して線引きの生む痛みに向き合っている。